WordPress をやめた方がいいとは、私は考えていません。WordPress はホームページの中身を管理する仕組み(CMS)のひとつで、いまもたくさんの会社のサイトで普通に使われています。オワコンだとも思っていません。
そのうえで、Basiy は自社のサイト(basiy.net)を、10月30日に WordPress から Cloudflare に移しました。理由は、ホームページの管理の手間を減らして、AIに頼んで直す形にしたかったからです。
移してみて変わったのは、主に3つです。
- 管理: 管理画面を開くことも、サーバーにファイルを上げることもなくなった
- 安全: いまの basiy.net には、WordPress と PHP に特有の攻撃の入口と、外から入力を受け付ける入口がない
- 費用: 本番を移した10月30日を含む請求期間(10月2日から11月1日)の Cloudflare の請求は0ドル
ただ、誰にでも勧められる方法ではないとも思っています。この記事では、移した理由と変わったことを自社サイトで試した結果から書き、向いている人と向いていない人は私の考えとして書きます。2026年11月2日時点の内容です。
WordPressはやめた方がいい?
やめた方がいい、とは考えていません。Basiy が移したのは、メンテナンスや管理のしやすさを考えたとき、いまの Basiy には Cloudflare に移すほうが適しているのでは、と考えたからです。
WordPress のサイトを持っていると、管理画面を開いて、本体やプラグイン(機能を足す部品)の更新を確かめる作業が定期的にあります。私の場合は、アップデートの確認と、記事を公開するときに管理画面を開いていました。1サイトなら大した手間ではありませんが、管理するサイトが増えるほど、この手間も増えていきます。
細かい修正も手間でした。文言を少し直すだけでも、サーバーにファイルを上げて、順番に手を踏んで反映していました。この手間を WordPress のままで削るのは、私の知る範囲では無理でした。
そこへ、緊急の脆弱性の知らせが続きました。9月の後半は WordPress 本体、10月の後半は PHP(WordPress を動かしている言語)です。WordPress 本体は自動更新で修正版になっていました。PHP のほうは、サーバー会社が修正版に上げてくれるのを待つしかありませんでした。修正版に上がった後に点検して、被害の跡がないことを確かめています。
WordPress を丁寧に更新して守れるのは、WordPress とプラグインの側までです。PHP やサーバーの側に穴が見つかったら、修正版が出るのを待つしかありません。Basiy は、その「待つしかない」部分ごと手放すことにしました。
WordPressをやめて、何に変えたの?
いまの basiy.net は、静的なサイトです。
WordPress のサイトは、誰かがページを開くたびに、サーバーの上でプログラムが動いて、データベースから記事を読み出し、その場でページを組み立てています。これを動的なサイトと呼びます。
静的なサイトは、全ページを前もってファイルにしておき、それをそのまま配ります。ふつうのページでは、開くたびにプログラムが動くことはなく、データベースもありません。Basiy は、Astro というページを前もって作る道具で全ページを作り、Cloudflare に置いて配っています。
管理画面もありません。文言の差し替えも、これから足す記事も、Claude Code という AI に頼んで直してもらい、私が仕上がりを確かめて出しています。何を直すかを決めるのは私で、直す作業を AI が速くする分担です。
移すと何が変わった?
管理の手間が減った
管理画面を開いてアップデートを確かめる作業も、サーバーにファイルを上げる作業もなくなりました。直したいことを Claude Code に伝えて、仕上がりを確かめて出すだけです。
見た目は、ついでに作り直した
11月1日には、見た目も作り直したものに入れ替えています。これは完全に私の好みで、ついでです。
作り直した見た目のほうが、表示も速くなりました。Cloudflare に移した後に、前の見た目と作り直した見た目を、Google の Lighthouse という道具で比べています。見たのは LCP という指標で、ページを開いてから、いちばん大きな部分が表示されるまでの時間です。Google は、2.5秒以内を「良好」、4秒までを「改善が必要」、それより遅いと「不良」としています。
結果は、38ページの中央値で、前の見た目が4.6秒、作り直した見た目が2.7秒でした。38ページのうち35ページは速くなりましたが、3ページは遅くなっています。2.5秒の「良好」には、まだ届いていません。どれも各ページ1回ずつ測った数字です。これは見た目の作り直しによる差で、WordPress のころと比べた数字ではありません。また、Google が検索で使う判定は、実際にサイトを見た人の数字をもとにしているので、ここで書いた試験の数字とは別物です。
費用はほとんどかからない
本番を Cloudflare に移したのは10月30日です。その日を含む請求期間(10月2日から11月1日)の Cloudflare の請求は、アカウント全体で0ドルでした。1か月を通して動かした結果は、11月の点検で確かめます。サイトを配る部分は、Cloudflare の無料プランで動いています。
ほかにかかったのは、ドメイン(basiy.net という名前)を Cloudflare に移す費用です。それまでのサーバー会社の特典を外す手数料が1,992円、Cloudflare への移管が13.05ドル(どちらも税込み)でした。13.05ドルには1年分の更新料が含まれていて、次の更新は2028年8月です。特典で無料だったドメインの更新料は、これからは毎年 Cloudflare に払います。前のサーバーの契約は2027年8月まで残っているので、サーバー代が減るのはその後になります。
攻撃される入口が減った
新しい basiy.net は WordPress と PHP を使っていないので、それに特有の攻撃の入口はありません。管理画面もデータベースもありません。前の WordPress は、前のサーバーにまだ残っています。12月中旬に自動更新を止める予定です。
PHP の脆弱性の点検では、サーバーの中に、昔のテスト用のサイトが6つ残っているのも見つかりました。放置して忘れていたもので、中には2023年のプラグインが入ったままのものもありました。外からはパスワードで守られていましたが、放っておけば、いつか穴になっていたかもしれません。これも移すときにまとめて消しています。
ただ、Cloudflare に移したからといって、絶対に安全になったわけではありません。Cloudflare 自体に障害や脆弱性が出ることもあります。減ったのは、WordPress と PHP に特有の入口です。
お問い合わせフォームはどうしたの?
やめました。これも重要な判断でした。
お問い合わせフォームは、外から入力を受け付ける入口です。ちょうどこの時期に、フォームの自動返信を悪用する手口も目の前で見ていました。フォームに他人のメールアドレスと文面を入れて送ると、サイトの自動返信がその文面を載せたまま、その人に届いてしまう。サイトの名前で迷惑メールを送られる形です。設定を直せば防げる話で、basiy.net の前のフォームも10月26日に直しています。
新しいサイトでも、最初はフォームを残すつもりでした。ところが、フォームの内容をメールで届ける Cloudflare の機能は、有料プランでしか使えませんでした。ほかの送り方も比べましたが、どれも鍵か仕組みが1つ増えます。最近の脆弱性のことを考えると、複雑にするより、シンプルにして強くしたい。そう考えて、フォームそのものをやめました。複雑な仕組みを抱えたくない気持ちも、強くありました。
いまは、LINE とメールの2つの窓口を案内しています。メールアドレスは、ボタンを押すと表示される形です。フォームがあった頃は、営業のメールが頻繁に届いていました。メールに替えたら営業のメールが減るのではないか、とも考えています。変えたばかりなので、結果が分かるのはこれからです。
移している間、検索やサイトは大丈夫だった?
本番に出すたびに、Claude Code に機械で照合してもらいました。古いページのアドレスから新しいアドレスへの転送89件は、10月30日に移したときと、11月1日に見た目を入れ替えたときの両方で、すべて合っていました。11月1日の入れ替えの後には、サイトの中のリンク1,208件と、画像とPDF190件も、すべて合っていることを確かめています。
何かあったときに前の版へ戻す手順も、先に用意しました。試したときは、15秒後には前の版に戻っていました。
検索の順位への影響は、まだ分かりません。11月の中旬と下旬に、検索での見え方や請求を点検します。
どんな人に向いている?
AI に疎い人や、AI に全部任せればできるという考え方の人には、向いていないと思います。
向いているのは、AIを使いこなせる人
向いているのは、コーダーなど、サイト制作に詳しい人です。AI を使うこと自体は否定しませんが、AI に全部任せるのではなく、AI を使いこなす知識(AI リテラシー)がある人だと考えています。
AI に言葉で頼むだけでサイトを作る、いわゆるバイブコーディングの知識だけでは、向いていない気がしています。
設定と請求を自分で理解できるか
Cloudflare で、思わぬ高額な請求を受けた話も目にします。どの機能を使うと費用がかかるのかを、自分で理解して設定できる人でないと怖いと思います。Basiy では、サイトを配る部分は無料プランのまま使い、請求には予算のアラートも設定しています。
Basiy のサイトのような静的なサイトなら、ほぼ問題のない構成です。一方で、会員サイトのような特殊なサイトは怖いと思います。
セキュリティは、AI に全部は任せられない
セキュリティや脆弱性への対応は、AI に全部任せても解決しません。
新しい脆弱性の知らせを、SNS などで日々追えているか。対策が必要になったときに、適切に対応できるか。そういう、いくつもの面を含めて考える必要があります。
お客さまのサイトも移すの?
お客さまのサイトも、移す予定があります。ただ、まずは自社のサイトで運用して確かめているところです。お客さまのサイトは、自社のサイトで手順を固めてから移します。
まとめ
- WordPress をやめた方がいいとは考えていない。Basiy は、メンテナンスや管理のしやすさを考えて移した
- 自社サイトを Cloudflare の静的なサイトに移し、管理画面を開く手間がなくなった。請求は、移した日を含む期間で0ドル
- お問い合わせフォームはやめて、LINE とメールにした
- 向いているのは、サイト制作に詳しく、AI リテラシーがある人。設定と請求を理解でき、脆弱性の情報を日々追える人
- 検索への影響は11月の点検で確かめる。お客さまのサイトは、自社のサイトで手順を固めてから移す



