お客様に「よかったらGoogleに口コミを書いてください」とお願いすること自体は、Googleがはっきり認めています。ステマ規制でも、消費者庁のQ&Aは、内容を指示せずに投稿を頼む例を、通常は違反にならないと考えられるとしています。
気をつけるのは、頼み方です。特典と引き換えにすること、書く内容を指定すること、評価の良さそうな人だけに頼むこと。このどれかに当たると、ステマ規制かGoogleのルールのどちらか、または両方に引っかかります。
ややこしいのが割引の扱いです。消費者庁のQ&Aでは、内容を指示せず、見返りが割引程度であれば、口コミと引き換えの割引は通常違反にならないと考えられるとしています。ところがGoogleは、口コミと引き換えの割引をはっきり禁止しています。この記事では、消費者庁とGoogleが公開している原文をもとに、ケースごとに整理します。2026年10月21日時点の内容です。
口コミを頼んでもいい?
頼んで大丈夫です。
Googleは、ビジネスプロフィールのヘルプで、クチコミを書いてもらうためにGoogleのリンクやQRコードを案内してよいと書いています。
クチコミを投稿してもらうために、Google リンクにアクセスするか、QR コードをスキャンするようユーザーに依頼できます。
ポリシーでも、特典を出さず、評価や内容に影響を与えようとしない形で、実体験の投稿を頼むことは許可されています。
消費者庁のQ&Aには、街頭で試供品を配るときに「よろしければ使用後の感想をSNSに投稿してください」と声をかける例があります。投稿内容を指示しておらず、行き交う人に投稿するかどうかを問わず配っているだけで、通常それ以上の関係もないと考えられる。そのため、その投稿は通常、お店の広告扱いにはならず、ステマ規制にも違反しないと考えられる、という回答です。
一方で、特定のインフルエンサーを選んで商品を無償で渡し、投稿を頼む例については、やり取りの内容や取引の関係によっては、お店の広告に当たると判断される場合があるとしています。
ステマ規制は口コミの何を問題にしている?
ステマ規制は、2023年10月1日に始まった景品表示法のルールです。広告なのに広告だと分からないようにする行為を禁止しています。
規制されるのは、商品やサービスを売っているお店や会社、つまり広告主の側です。消費者庁のQ&Aでは、広告主から頼まれて投稿したインフルエンサーも、広告主と一緒に商品を売っているような例外を除いて、規制の対象外とされています。
ポイントは、その口コミが「お店の表示」になっているかどうかです。消費者庁のQ&Aでは、これを「事業者の表示」と呼んでいます。お店が書く内容を決めている、またはお客様が自由に書いたとは言えない関係があると、口コミでもお店の広告として扱われます。その場合は「広告」「PR」などと分かるように示す必要があり、示さずに出すと違反になります。
違反すると、消費者庁から措置命令という行政処分を受けます。誤解を解くための対応や再発防止を命じられるもので、ステマ規制の違反だけなら課徴金の対象にはなりません。ただし、品質を実際より良く見せる表示(優良誤認表示)や、取引条件を実際より有利に見せる表示(有利誤認表示)にも当たる場合は、課徴金の対象になることがあります。違反とまでは言えなくても、おそれがあれば指導を受けます。
割引やクーポンと引き換えはダメ?
ステマ規制とGoogleのルールで、答えが分かれます。
消費者庁のQ&Aには、「サービスを使った後に予約サイトへ口コミを書くこと」を条件に割引する例があります。口コミの内容は指示しておらず、見返りも割引程度。この場合、その口コミは通常お店の広告には当たらず、違反しないと考えられるとしています。
したがって、当該口コミ投稿は、通常、「事業者の表示」には当たらず、告示に違反しないと考えられます。
ECサイトで「レビューを書いたら次回使えるクーポン」を出す例も、同じ考え方です。
一方でGoogleは、クチコミの投稿と引き換えに、お金、割引、無料の商品やサービスといった見返りを出すことをはっきり禁止しています。
クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正または削除と引き換えに、インセンティブ(金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなど)を提供する行為。
出典: Google「禁止または制限されているコンテンツ」の、販売者に禁止されている行為
見返りがきっかけで書かれたクチコミは、削除の対象です。
消費者庁のQ&Aで通常は違反にならないとされている頼み方でも、Googleマップの口コミでは使えません。Googleマップの口コミをお願いするときは、特典を付けないのが前提です。
「星5で」「◯◯と書いて」と頼むのは?
どちらのルールでも、やめたほうがいい頼み方です。
消費者庁のQ&Aでは、割引の条件に「星5を付けること」を入れると、お店が投稿の内容を決めていることになり、お店の広告に当たると考えられるとしています。
口コミ投稿に当たって、「星5(☆☆☆☆☆)」を付けることが条件とされており、事業者は表示(投稿)の内容を決定しているといえるため、「事業者の表示」に当たると考えられます。
星でなくても、サービスを勧めるコメントを書くことを条件にすれば同じです。SNSの投稿キャンペーンで「#毎日食べたい美味しさ」のような具体的な感想を応募条件にする例も、お店の広告に当たると考えられるとしています。
Googleも、クチコミを頼むときに特定の内容を入れるよう頼むことを認めていません。お店がスタッフに対して、スタッフが誰か分かる内容など、具体的な内容が入ったクチコミを集めるよう求めることも、禁止の例に挙がっています。
満足してくれた人にだけ頼むのは?
Googleのルールでは禁止です。
Googleは、悪いクチコミを書かせないようにすることや、良いクチコミを選んで集めることを、評価の操作として禁止しています。
顧客からの否定的なクチコミの投稿を妨げたり禁止したり、肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為。
出典: Google「禁止または制限されているコンテンツ」の、販売者に禁止されている行為
「満足した方だけGoogleへ、不満のある方は別のフォームへ」と評価で案内先を分ける仕組みは、Googleのページに名指しはされていませんが、この禁止に当たると読めます。
あわせて、次の頼み方も禁止されています。
- その場でクチコミを書くよう、求めたり強いたりする
- スタッフに、集めるクチコミの件数を課す
自社サイトに「お客様の声」を載せるときにも、似た考え方があります。消費者庁のQ&Aでは、アンケートの回答から良い評価だけを選んで載せると、お店の広告に当たると考えられるとしています。無作為に選んで、内容を変えずに載せる場合は当たらないと考えられるとしています。
従業員や家族に書いてもらうのは?
Googleのルールでは、書いてもらわないのが安全です。
Googleは、利益相反のあるクチコミを評価の操作として禁止しています。
利益相反に基づくコンテンツ。利益相反には、現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係、利益相反となるその他の職業上のつながりや個人的なつながり(業界の競合他社、家族関係など)が含まれます。
出典: Google「禁止または制限されているコンテンツ」の、評価の操作の例
ステマ規制では、従業員が自分のSNSで自社の商品の感想を書いても、それだけで直ちに違反と判断されることはないとされています。ただ、販売や開発に関わる役員、管理職、担当チームの一員のように、販売を促すことが求められる立場の人が宣伝のために書けば、お店の広告に当たると考えられるとしています。
悪い口コミを書き直してもらうのは?
事実と違う部分の訂正を頼むことと、評価を良くしてもらうよう頼むことは、分けて考えます。
消費者庁のQ&Aでは、実際にはない性能が書かれているなど、客観的な事実と違う部分を直してもらうよう頼んでも、それだけでお店の広告にはならないとしています。一方で、お客様の感想や評価を、お店に都合の良い内容に直してもらうよう頼めば、直した後の口コミはお店の広告に当たると考えられるとしています。
顧客が、購入商品を使用した感想(評価)を記載していることに対して、自社に都合の良い内容に改めるよう依頼すれば、当該依頼を受けて修正されたレビュー投稿は「事業者の表示」に当たると考えられます。
Googleは、悪いクチコミの修正や削除と引き換えに見返りを出すことを禁止しています。悪い口コミには、書き直しを頼むよりも、返信でお店の考えを伝えるほうが向いています。Googleもヘルプで、クチコミに返信して見解を伝えることを勧めています。良い声と悪い声の両方があるほうが、見る人はクチコミを信用しやすい、とも書いています。
結局、どう頼めばいい?
ここまでの原文に照らすと、次の形がどちらのルールにも引っかかりにくい頼み方です。
- 来店した方みなさんに、同じように案内する
- 特典は付けない
- 星の数も書く内容も、お客様に任せる
- その場で書くよう求めない
店内のPOPや会計時のカードにGoogleのQRコードを載せて、「よろしければ口コミをお願いします」と添える、といった形です。案内の言葉も「ご来店の方みなさんにご案内しています」にしておくと、スタッフが説明するときに迷いません。
もっとも、どこまでが許されるかは解釈が分かれるところもあります。Basiyも、口コミのお願いの仕方は、原文を読み直しながら運用しています。
ロカポスはこのルールにどう合わせている?
ここからは、Basiyが販売している口コミ収集サービス「ロカポス」の話です。
ロカポスは、お客様がアンケートに答えると、その回答をもとにAIが口コミの文案を作り、お客様ご本人がGoogleマップに投稿する仕組みです。お店が代わりに投稿することはありません。
上で見たルールに対しては、次のように合わせています。
- 投稿するのは、常にお客様ご本人
- 星の数も文章も、お客様が自由に変えられる
- 星の数で案内先を分ける機能はなく、星1でもそのままGoogleに投稿される
- 導入店には、口コミと引き換えの特典は出さないよう伝えている
現場での声かけについては、来店した方みなさんに案内したうえで、スタッフが声をかけやすい方からお願いしてかまわない、と導入店に伝えています。説明の言葉としても、「満足した方にお願いしています」とは言わないようにしています。
一方で、AIが文案を作ること自体が、Googleの言う「内容に影響を与えようとする」に当たるかどうかは、この記事で確かめたGoogleの2つのページには書かれていません。
Basiyでは、同じような文面が並ばないよう、アンケートの選択肢と文章の作り方を調整しています。同じ選択肢を選ぶと似た文章になりやすい点はまだ残っていて、調整は続けています。お客様が気になる表現をご自身で直せることも、導入店にお伝えしています。
ロカポスは、Googleのクチコミポリシーとステマ規制に沿った運用を前提にしています。ルールに合っているかの最終的な判断は、Googleと消費者庁がそれぞれ行います。
ロカポスの仕組みは、ロカポスの紹介ページにまとめています。
まとめ
- 口コミを頼むこと自体は、Googleが認めている。消費者庁のQ&Aも、内容を指示せずに投稿を頼む試供品や割引の例を、通常違反にならないと考えられるとしている
- 割引やクーポンと引き換えの口コミは、内容を指示せず割引程度なら、ステマ規制では通常違反にならないと考えられる。ただしGoogleでは禁止
- 星の数や書く内容の指定は、どちらのルールでも避ける
- 良い評価の人だけに頼む、その場で書かせる、スタッフに件数を課す、はGoogleで禁止
- 従業員や家族の口コミは、Googleでは利益相反として禁止
- 頼むなら、来店した方みなさんに、特典なしで、内容はお任せで
この記事は2026年10月21日時点の消費者庁のQ&A・運用基準とGoogleのヘルプをもとにまとめたもので、個別の案件の法的な判断ではありません。ルールは改定されることがあるので、迷ったときは原文を確かめてください。
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
- Google「禁止または制限されているコンテンツ」
- Google「クチコミを増やすためのヒント」



